■ 【障がい者(障害者)就職・採用・転職コラム】
人材紹介会社は「すべての転職希望者」のためのサービスか?
「障害者求人がたくさんあります」「正社員求人が豊富です」「高年収の求人も多数あります」転職サイトやエージェントの広告を見ていると、そんな言葉が並んでいます。でも、掲載されている求人、実はかなり重なっていないでしょうか。同じ会社、同じ職種、似たような条件の求人を、複数のサイトやエージェントが扱っている。これは、人材紹介というビジネスモデルを考えれば、それほど不思議なことではありません。
*「今より、もう少し良いところ」を探す人々
例えば、「今より年収を上げたい」「できれば正社員がいい」「有名な会社がいい」「今の会社より、もう少し良いところがあれば……」という転職希望があります。もちろん、「この会社の、この仕事がしたい」「この専門性を伸ばしたい」「5年後、10年後を考えて、このキャリアを作りたい」と、具体的な目的を持っている人もいます。しかし、そこまで明確ではなく、何となく「今より良いところ」を探している人も少なくありません。
そして実は、この「今より何となく良いところ」という希望は、既存の求人票に当てはめやすい。「こちらの求人はいかがですか?」「こちらも条件に合います」と紹介しやすいからです。
*人材紹介は「採用されやすい人」がビジネスになりやすい
一般的な有料職業紹介は、採用が決まった際に求人企業から紹介手数料を受け取る成功報酬型です。つまり、 求人を紹介する → 応募・推薦する → 採用される → 手数料が発生する という構造です。そうなると、「すぐ紹介できる求人がある」「応募してくれる」「企業から評価されやすい」「比較的短期間で内定が出そう」という人材ほど、ビジネスとして扱いやすくなります。
逆に、「既存の求人では条件が合わない」「簡単には内定が取れない」「企業との調整に時間がかかる」「そもそも紹介できる求人がない」という人は、紹介ビジネスとの相性が悪くなります。これは、特定の会社が悪いという話ではありません。人材紹介というビジネスモデルそのものが、そうなりやすいという話です。
*上場企業だから、年収が上がるから、で決めて良いのか
障害者雇用なら、なおさら気になります。「上場企業です」「誰もが知っている大企業です」「年収が今より上がります」それで応募して良いのでしょうか。その会社は、障害者を単に法定雇用率を満たすための人数として採用しているのか。それとも、一人の社員として戦力になることを期待しているのか。入社後に仕事の幅は広がるのか。昇給や評価はあるのか。5年後、10年後、その人はどんな仕事をしているのか。求人票を見ただけで、それが分かるでしょうか?
*「入社できる会社」と「長く働きたい会社」は同じとは限らない
だから本来は、「採用されるか」だけでなく、「入社した後どうなるのか」まで考える必要があります。もちろん、エージェントが悪いという話ではありません。転職エージェントは、求人を探したり、企業との調整をしたり、転職活動を進めるうえで便利なサービスであり、転職活動における重要な選択肢の一つです。
ただ、転職・就職の方法はエージェントの他に、企業への直接応募、知人や人脈、ハローワーク、求人サイトなど、様々あります。エージェントは便利なサービスの一つですが、転職活動そのものではありません。
* 人材紹介会社が見ているのは「すべての人」ではない
少し乱暴に言えば、人材紹介会社は、就職・転職をするすべての人を対象にしたビジネスではありません。既存の求人に当てはめやすく、企業から評価され、比較的短期間で採用につながる人材を、多くのエージェントが奪い合う。それが、人材紹介ビジネスの一つの姿です。
だからこそ私は、そこから外れてしまう人や、求人票だけでは判断できない会社にも目を向けたいです。「この人なら、この会社で戦力になれるのではないか」「この会社なら、この人の経験をもっと活かせるのではないか」そんなところから考えるのが「アンプティパ(小さな一歩)」です。
エージェントを使うことは悪くありません。でも、頼り切らないことも大切です。転職先を決めるのは、エージェントではありません。最終的に、その会社で働くのは自分自身です。
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